『週刊ポスト』に韓国から抗議文

2010年7月1日

 5月24日に発売された『週刊ポスト』(6月4日号)の「韓国農民にあてがわれた統一教会・合同結婚式 日本人妻の『SEX地獄』」に対し、韓国から謝罪・訂正を求める抗議文がこのほど発行元の小学館に対して送付されました。ご本人の許可を得て、以下に2通の文面を紹介いたします。

 

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週刊ポストの統一教会の記事について抗議します!

 

 まず、大きな見出しの“韓国農民にあてがわれた統一教会、合同結婚式日本人妻のSEX地獄”にあきれてしまいました。何を考えこのような、ばかばかしい記事を出したのか、北海道大学の櫻井教授が書いた本をもとにこのような記事を出したでしょうが、記事を出す前にしっかりと韓国に住んでいる私達統一教会信者に対する正当な取材が無かったからあのような間違った本の内容だけで記事をだすような無責任な報道をしたのですか。

 

 “私たちの調査によって、合同結婚式にはこうした側面があったことがわかったのです。”と書いてありましたが、一体どんな調査をしたのでしょうか?一部の問題を韓国に嫁いだ日本婦人達全員が問題を抱えているような表現をされ、問題ばかりがクローズアップされております。その後、その問題が解決されたなどは全然出されていません。ましてや、都市で生活している婦人達がはるかに多くいるのにもかかわらず、何故、農村の嫁不足の対策として送り込まれたなどと歪曲して悪いイメージをもたせる報道をするのでしょうか。

 

 又、中西関西大学非常勤講師が聞き取り調査をしたのが何年前のことでしょうか?そして、その調査当時、幸せに暮らしている日本婦人達にもたくさん会っているでしょうに何故、そのことにはクローズアップされないのですか?とても悪意のある意図的で異常な報道としか思えません。“幸せを感じている日本人妻もいるようだ”とわずかに表現し、残り99%は問題ばかりだと意図的に焦点を合わせています。しかし、私をはじめ現実は幸せに暮らし海外での結婚生活に満足を感じている人も多くいます。このことをしっかり認めもう一度正しい取材をし、公正な報道をすることを要望します。

 

 このように一方的に問題を強調する記事を出す週刊ポスト自体の正当性が異常に疑われます。

 まず、日本人として日本のマスコミ“週刊ポスト”の偏向性に対して、はずかしいほどです。良心に恥じないのでしょうか?

 韓国で幸せに暮らす私達に対し失礼ですし、日本に住んでいる私達の家族に対してもとても失礼千万な内容で、許すこともできません。何も知らない人達はどう思うことでしょうか?謝罪と正当な記事を掲載するよう強く要求致します。

 

 最近韓国のマスコミは統一教会に対する正しい報道をするようになりました。それは、マスコミの正しい取材による正しい報道です。それをみると私達が感動するほどです。

 報道する側の責任を取り、大々的に謝罪をした上でもう一度正しい取材を行い、正しい記事を書くようにして下さい。一週間以内に返答を下さいますように、よろしくお願いします。

 在韓日本婦人会 事務局長 伊差川和枝

 

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小学館「週刊ポスト」編集部

抗議文 

 

 2010年6月4日号に掲載された週刊ポストの記事は、韓国に住む私たち統一教会の日本人達を非常に憤慨やるかたない思いにさせました。そして、余りに、偏った記事の取り扱いに腹立たしさを覚えました。私自身、結婚して28年、韓国を第2の故郷とし生きている者ですが、しかし、一部の取材を頼りに、それをこの韓国で生きている者たちのすべての姿であるような書き方や、捕らえ方に驚くばかりです。

 私は在韓日本人女性を代表する立場で、甚だしい事実無根に一言、異議を申し上げたいと、ペンを執りました。

 

 『統一教会日本宣教の戦略と韓日祝福』の櫻井義秀教授と共著になって執筆してる中西尋子関西学院大学非常勤講師が3年ほど前でしょうか、足繁くわが教会に通って来ては、わが教授教会の礼拝に参加しながら私たち仲間の情報を収集されていた姿を私も知っております。

 公正な立場で在韓統一教会の日本人信徒たちの話を聞きたいという申し込みにわれわれは疑うことも知らずに気軽にインタビューに答えましたし、紹介もいたしました。『誰を訪ねたらよいか』などと相談されると、誠意を持っていろいろな人を紹介もした立場です。しかし、その彼女が公正を欠くどころか、われわれを騙し、裏切り、反対派のお先棒を担ぐような立場に立って述べている事に非常に驚きました。

 

 私たち統一教会は韓国から出発した宗教でありますから、信徒たちが信仰の祖国として韓国を仰いでいるのは自然なことであります。信仰の教義や理念のもとに行われている教会内の敬虔な儀式が、興味本位な解説で述べられ、すべてを知っているかのごとく書かれていることに対しても、学者であられる方のなされることだろうかと疑問を抱かざるを得ません。

 

 私たち日本女性はこの韓国の地に20年30年と生きて参りました。日本以上に家族の絆を重視する文化に溶け合うまでには並々ならぬ努力がありましたし、言うに言えない涙を流したことも事実です。農村に入っていけば、まだまだ発展の余地ある韓国農村ではありますが、その中に入って嫁として、愛され、妻として母として、子供を育てながら逞しく生き抜いてまいりました。農村に嫁いだ日本女性を特殊な枠にはめてすべての日本人がこんな生活を強いられているかの如き表現方法は誤解を招かざるを得ません。

 

 私の親しい友人の中に忠清南道禮山に嫁いだ小川照代さんがいます。彼女は東京に住んでいましたが韓国の農村に嫁いで来ました。根っから明るく社交性のある彼女は地元で、奉仕活動や村の公民館などで日本語を教えるなどいろいろな人と出会いながらその村の人気者になり2006年から現在までその町の婦人会の会長として推薦され活躍しております。多文化家庭が注目されて来た頃その郡が主催する集会の中で、彼女は多文化家庭の体験発表をしたのです。そして彼女はその中で韓国の家族関係のすばらしさや、情の深さを訴えました。

 

 『夫が事情があって長い間、家に居らず農作業など一人でやらなければならなかったとき、村中の人々が代わる代わる農作業をわが事のように手伝ってくれ、無事に忙しい農繁期を乗り越えることが出来ました。いまでもこの村にはこんな素晴らしい助け合う精神が残っています。』と経験を語りながら彼女の住む村を絶賛したのです。審査員として参加していた道知事が感動してその村に一億ウォンの援助金を、さらに参席していた郡守(市長)が1億ウォンをその村のために援助してくれたというのです。彼女のもらった賞金で、その村の水道の施設を作ったり、また舗装されていない道路を拡張しアスファルトにしたというように村の人々のために貢献し村の人々から喜ばれているのです。また付け加えれば彼女は2009年多文化模範家庭として法務部長官賞(日本の法務大臣賞に該当)を受賞したのです。このようにたいへんだといわれる農村の中でこんな元気に頑張って証しをたてている人々もいるということを中西さんはどうとらえているのでしょうか。そして、週刊ポストはそういう事実を私たちに取材する事もなしに、なぜとんでもない報道に陥ったのでしょうか。このような悪意溢れる記事に対して許すことが出来ません。多くの喜んで生活している者達のことも正しく取材し報道して頂きたいと心からお願い致します。

 

 また、在韓日本人の中には、さまざまな分野で活躍している人々もたくさんいます。韓国の日本語学習熱は今も変わりなく、小中高大はもちろん様々な公共機関でも、日本語学習者が多いです。統一教会の女性の中にも、日本語教育に携わっている者達は1000名を越えますし、また大学で日本語教授として日本語教育に携わっている者は200名程おります。それぞれの分野で韓日文化交流の先頭に立って活躍しているものも多くいるということを付け加えておきます。

 

 私達は、韓日の歴史の中で恩讐関係のような時期もありましたが、いまや韓国社会の中でしっかりと、根を下ろして韓日関係の架け橋になろうとしております。そしてこの韓国に住んでいても、いつも日本国の代表であり、民間外交官であるとの自覚を持って歩んで参ります。

 

 ジャーナリストとしての良心があるのであれば、謝罪訂正をするか、いま一度偏見なき取材をして公正な記事を書くのか、貴社の返答を一週間以内にお送り下さい。

                 

 在韓日本婦人会会長 増渕はる美

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